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鏡の前で服を何度も着替えていらっしゃったなら
服を選ぶ基準が「着たい服」ではなく「胸が目立たない服」になってしまった方がいらっしゃいます。今日のお話の主人公もそうでした。Tシャツを着ると出て見える胸の形が、この方の最も大きな心配でした。
「やってからそんな心配がすっかりなくなりました」
手術前の心配をお尋ねしたとき、この方は出っ張った形が人目につくことが最も気になったとおっしゃいました。そして手術後にはこう書かれました。
「やってからそんな心配がすっかりなくなりました。」
もちろんこれはこの方の経験です。結果への実感と回復経過は個人によって差があります。ただ、何年もつきまとった心配が晴れる経験がどのようなものかは、この短い文章が十分に示してくれると思います。
男性の看護人材だから、かえって楽だったという言葉
病院の第一印象をお尋ねすると、この方はくつろげたという表現を使われました。そして看護人材が皆男性で、かえって心が楽だったとおっしゃいました。
女性化乳房のカウンセリングで患者さんが真っ先に越えなければならないのは手術ではなく、恥ずかしさです。同じ男性同士なら、その敷居が少し低くなります。診療室の中の空気が楽であってこそ、悩みも正確に切り出せます。

思ったより短く終わった時間
手術中の記憶をお尋ねすると、この方の答えは簡単でした。心配したことに比べてすぐに終わったということでした。
女性化乳房の手術は乳輪の周りに局所麻酔の注射を打つ部分麻酔で行います。ですから患者さんが聞く最後の言葉は「チクッとします、この部分だけ我慢してください」程度です。実際の手術時間は30分ほどですが、長年積み重ねてきた手術ノウハウで時間を大きく短縮しました。手術時間が短いほど患者さんにとってより安全だと考えるので、私はこの部分を特に大切に見ます。もちろん具体的な麻酔と手術の計画は、診療の際に状態に応じてご案内します。
これからは着たい服を選びながら
手術後にしたいこととして、この方はきれいな服を着て歩くことを挙げられました。隠すための服ではなく、着たい服。クローゼットの前での基準が変わることこそ、この手術が変える日常の姿です。
夏服は薄くて、胸が出ていると着られる服の幅が大きく狭まります。ですから私は回復が過ぎたあとに、体にぴったり合うシャツを一着あつらえて着てみてくださいとおすすめします。一度も着てみられなかったタイトなシャツを着てみながら、女性化乳房という恐れから今や自由になったということを、ご自身で実感してほしいという思いです。
同じ悩みを抱える方へは、先延ばしにする時間が惜しいという趣旨のお言葉を残されました。これはこの方の考えであり、手術を受けるかどうかは診療を通じてご自身の状態を確認したうえで判断されればよいのです。
「システムがよく構築されているようです」
最後に残された一行はこうでした。
「システムがよく構築されているようです。とても良いです!」
カウンセリングから手術、回復管理までの過程が楽に感じられたなら、私どもが準備したものが役目を果たしたのです。特に私どもは手術前より手術直後からより細やかに管理して差し上げようとし、その後も長く経過を一緒に見ます。問題があるときにいつでも相談すれば解決するという信頼を差し上げることが、手術と同じくらい大切だと考えています。
鏡の前で服を何度も着替えていらっしゃる方なら、おひとりで長く引きずらず、一度お越しになってその悩みを気軽に打ち明けてみればと思います。お話を交わすその時点から整理が始まります。