- 検索結果がありません。
「眠って起きた記憶しかありません」
手術そのものよりも、手術の「翌日からの日々」を心配される方が多くいらっしゃいます。
出勤はできるだろうか、洗うことは、動くことは。日常がどれほど不自由になるのかが、決心を妨げる最も現実的な理由になることがあります。今日のお話の主人公も、そうした心配から始められた方です。
私どもの手術は部分麻酔で行います。手術開始の直前に乳輪の周りに局所麻酔の注射を打ちながら「チクッとします、この部分だけ我慢してください」とお伝えするのですが、この方が覚えている最後の言葉もそれでした。次に聞こえた言葉は「手術はとても良く終わりました、これから回復室へ移動します」だったそうです。どうしてこんなに一瞬で終わったのか分からないとおっしゃるので手術時間をお伝えすると、30分ほどだったという答えにさらに驚かれました。長年積み重ねた手術のノウハウで時間を大きく短縮してきましたし、手術時間が短いほど患者さんにとってより安全だと考えています。回復室に横になっていらっしゃるとき、心がとても穏やかだった、長年の悩みだった出っ張った胸の問題がこれで終わったという思いがずっと巡っていたと書いてくださいました。
手術直後の日常が心配なら

この方が手術前に最も心配されていたのは、手術直後の日常生活が不自由にならないだろうかという点でした。
手術を終えたあと、この方はこう書いてくださいました。「手術直後の日常生活が不自由になりそうだと思っていましたが、3日ほど経つと問題なくて良かったです。」
これはこの方の経過であり、回復の速さは手術範囲と個人の状態によって差があります。ただ、多くの方が想像する「長いあいだ何もできない時間」と実際の回復の姿は、異なる場合が多いのです。ご自身の場合にどのような流れが予想されるのかを、カウンセリングで具体的に確認されるのが最も正確です。
実際のスケジュールはこのようにご案内します。手術直後の12〜48時間は出血の危険がある期間なので、圧迫服の上に追加の圧迫をして過ごしていただきます。胸と腹部に二重に圧迫がかかるため、この時期が少し不便なのは事実です。翌日に病院へお越しいただき、出血の有無を確認したうえで追加の圧迫を外すと、そこからはずっと楽になり、職場生活にも大きな支障はなかったそうです。この期間に上半身の運動は禁止しますが、軽いウォーキングや下半身のスクワット程度はできますので、不自由には感じなかったと書いてくださいました。
手術の記憶
手術中に記憶に残る瞬間をお尋ねすると、この方の答えは短いものでした。「眠って起きた記憶しかありません。」
気になることがないほど説明をよく聞けたとおっしゃっていたカウンセリング、そして眠りのように過ぎた手術。恐れを大きくするのはたいてい想像であり、その想像を減らしてくれるのは、正確な説明と短く過ぎ去る実際の時間です。
写真を撮りたいという言葉
手術後に最もしたいことをお尋ねすると、この方は写真を撮りたいとおっしゃいました。
私はこの答えが長く記憶に残りました。写真は残すことです。これまでは残したくなかった姿を、今は残したくなったという意味ですから。言い換えれば、新しくなった自分の姿を人に見せたいという意味でもあります。以前は隠したかった体を、今はむしろ表に出して人に見せたいと思えるほどになったということは、身体的な治癒だけでなく、心的・精神的な治癒まで成し遂げられたということだと思います。
同じ悩みを抱える方へ
この方は同じ悩みを抱える方へ、受けたほうが良いという言葉を残され、感謝の挨拶も一緒に書いてくださいました。もちろんこれはこの方の経験であり、手術を受けるかどうかは診療を通じてご自身の状態を確認したうえで判断されればよいのです。
悩みの解決は、ご来院いただいて私と対話を交わす時点から始まることがあります。私がすべてを解決して差し上げられるとは限りませんが、大半の患者さんは疑問を整理してお帰りになります。おひとりで悩まず、ぜひカウンセリングにお越しいただければと思います。心からお力になりたく、まっとうな治癒を差し上げたいという思いで診療と手術に臨んでいます。