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肩を張ってTシャツを着たかった方のお話
夏が来ると、診療室が少しにぎわいます。
服が薄くなる季節になってはじめて、何年も先延ばしにしてきた悩みが、もう先延ばしにできない悩みになるからです。今日は、その季節の入り口で決心された、ある方のお話です。

痛みと圧迫服が心配でした
この方が手術前に心配されていたのは、痛み、そして圧迫服を着て過ごす生活でした。
手術を終えたあとにお尋ねすると、大きく不便な点はなかったとおっしゃいました。これはこの方の場合であり、痛みや圧迫服への慣れは個人によって差があります。ただ、心配の大きさよりも実際に経験する不便が小さかったというお話は、診療室で珍しくなく聞くお話です。
痛みはたいてい2〜3日のうちにかなり和らぎ、残りの期間は大きな痛みを訴えられない方が多い傾向です。圧迫服の着用が不便なのは事実です。ただ、手術後に伸びていた皮膚をできるだけ胸のほうへぴったりと癒着させることが重要だという点をご説明し、その理由を理解されると、圧迫服の不便さもよく耐えてくださいます。なぜ耐えなければならないのかを知っていることと知らないことは、回復期間を過ごすうえで大きな差を生むと思います。
緊張したまま入ってこられた初日
初めて病院にお越しになったときは、とても緊張されたそうです。ところが、スタッフと院長が親切で安心したと書いてくださいました。
言葉を切り出しにくい部位であるほど、初日の空気が大切です。緊張をほぐして差し上げるところまでが診療の始まりだと、私どもは考えています。
私どもの病院のモットーは「自分の家族が手術を受ける」という心構えであり、すべての手術にその心で臨んでいます。親切さと、患者さんの立場で考える姿勢についての教育も定期的に行っています。こうしたお褒めの言葉を患者さんからよくいただけるのは、そのおかげだと思います。
緊張をほぐす一番良い方法は、実は患者さんご自身が気になっていたすべての質問について、完全に説明を聞くことです。必要であれば何度でも繰り返しご説明することが、最も効果的でした。私どもは手術同意書をいただくための説明をするのではなく、不安で緊張したお気持ちがほぐれるまで対話を交わしたあとに、手術室へお連れします。
「目を開けたら手術終わり」
手術中に最も記憶に残る瞬間をお尋ねすると、この方の答えは短いものでした。「目を開けたら手術終わり。」
何年も恐れてきた時間が、ご本人には目を閉じて開けるあいだに過ぎ去っていました。恐れはたいてい手術より大きいものです。その事実を、手術が終わったあとにようやく知る方が多くいらっしゃいます。
手術は乳輪の周りに局所麻酔の注射を打つ部分麻酔で行い、実際の手術時間は30分ほどです。長年積み重ねた手術のノウハウで、時間を大きく短縮できるようになりました。手術時間は短いほど患者さんにとってより安全なので、熟練した医師に手術を受けることが大切だと思います。
この夏にしたいこと
手術後に最もしたいことをお尋ねすると、この方はこうお答えになりました。「肩を張って堂々とTシャツを着たいです。」
Tシャツ一枚が、ある人には何でもなく、ある人には何年もの宿題です。丸まっていた肩が伸びるのは、手術の結果である前に、心が回復していく姿です。
私は単なる身体的な変化だけでなく、患者さんの心理的な状態まで癒して差し上げる病院でなければならないと、いつも思いながら手術に臨みます。男性が肩を張って歩くというのは、もう萎縮せず自信が満ちたときにだけ現れる姿勢です。特に若い患者さんには、こうした自信の回復が人生の他の領域にも大きな影響を与えるため、とても大切だと思います。
夏を控えている方へ
この方は同じ悩みを抱える方へ、夏に備えて手術を受けてみるとよいという趣旨の言葉を残されました。もちろんこれはこの方の経験であり、手術を受けるかどうかは診療を通じてご自身の状態を確認したうえで判断されるのが先です。
これからも親切にしてほしいというお願いも残してくださいました。そのお願い、重く受け止めます。この夏、肩を張りたいというお気持ちがおありなら、おひとりで悩まず、一度お越しになって私とお話ししていただければと思います。気になることをすべて尋ねて整理していかれるだけでも、決心はずっと軽くなります。心からお力になりたいのです。