Truman Customer Story Column
心配の欄に書かれた二つの言葉
手術前にいちばん心配だったことを尋ねる欄に、この方は二つの言葉だけを書かれました。「副作用や費用。」
女性化乳房の相談でいちばんよく出る二つのことが、そのまま書かれていました。順番まで、相談室で聞く順番と同じでした。
女性化乳房の手術は健康保険の給付対象です。診療で状態を確認したうえで基準に当てはまるかを判断し、当てはまれば保険給付で進めます。
費用を先に尋ねられることを、私はおかしなことだとは思いません。長く先延ばしにしてきた理由の中に費用が入っている場合が、実際に多いからです。ただし、金額より先に確認しなければならないのは、いま触れるものが乳腺組織なのか脂肪なのかです。それによって手術が必要かどうかが分かれます。

手術のあとに確認する項目は決まっています。手術直後の12時間から48時間は出血のリスクがある期間なので、圧迫着の上にさらに圧迫をして過ごしていただき、翌日病院で出血の有無を確認したうえで、その圧迫を外してさしあげます。
その後は、組織を取り除いた場所に液体が溜まる漿液腫がないか、形が均等に落ち着いているかを、経過を見ながら確認します。決まった日に来院されることが確認のすべてで、患者さんが手術部位を直接手当てされることはありません。何を心配すべきかわからない状態のほうが、心配そのものより人を疲れさせます。
手術中に記憶に残った瞬間をうかがうと、こう書かれました。「麻酔をしたのでよく覚えていません。そのぶん痛みもありませんでした。」
これはこの方の場合です。痛みの程度は切除範囲や個人の状態によって差があり、数日は気になったとおっしゃる方もいらっしゃいます。当院の女性化乳房の手術は鎮静で行うため、手術の過程そのものを覚えていらっしゃる方はほとんどいません。
初めて来院されたときの印象を尋ねる欄も一行でした。「親切でした。」
六つの欄のうち四つが一行以下でしたが、その短い文に、心配したこととたどってきたことがすべて入っていました。体験談を長く書かれた方と短く書かれた方とで、満足度が違うわけでもありません。手術後にしたいこととしては、半袖を着て運動することを書いてくださいました。
要望を尋ねる欄にこの方が書かれた答えは、短い一言でした。「ファイティン」
同じ悩みを抱えている方々へは、すすめたいという気持ちを残されました。これはこの方の経験であり、手術を受けるかどうかは、診療でご自身の状態を確認したうえで判断されることです。