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思ったより長くかかって、思ったより痛くなかった
手術中に記憶に残った瞬間をうかがった欄に、6月に女性化乳房の手術を受けられたある方がこう書いてくださいました。「思ったより長くかかって、思ったより痛くなかった」。
よかったとだけ書かれた体験談より、こうした一文のほうが正確です。実際に手術は時間のかかることであり、その時間をあらかじめお伝えするほうがよいのです。
女性化乳房の手術時間は一律に決まっていません。乳腺組織の量と分布、脂肪と組織の比率、左右差、皮膚が伸びた程度によって変わります。組織を残す程度と乳輪周辺の形を整える過程で、さらに時間が必要になる場合もあります。
早く終えることが目標になってはいけない手術です。ただ患者さまの立場では、予想と違う時間が流れること自体が不安の要素になりますので、手術前の説明の段階でこの範囲を併せてお伝えするのが正しいと考えています。

この方が手術前にもっとも大きく心配された部分は麻酔でした。きちんとかからなかったらどうしようという心配であり、結果的にはうまく進んだと書いてくださいました。
麻酔は麻酔科の医療陣が別途担当して行い、手術のあいだじゅう状態を確認します。私は麻酔が完了したあとに手術を始めます。この仕組みをあらかじめ知っておかれると、心配が少しは減ります。
痛みについては、この方の場合、思ったより痛くなかったとおっしゃいました。ただし痛みの程度は人によって異なり、回復の過程でより不便を感じられる方もいらっしゃいます。我慢して過ごされずにおっしゃっていただければ、経過を見ながら可能なかぎり調節できます。
初めて来院されたときの記憶としては、医療陣の雰囲気とスタッフの応対、空間が清潔だった点を挙げられました。手術後にしたいことを尋ねる欄には「プールに行くこと」とだけ書かれていました。
女性化乳房で長く悩まれた方にとって、水遊びは夏のたびに避けることになる場です。その場をふたたび選択肢に上げられるようになることが、この手術の実質的な意味でもあります。
最後の設問には、同じ悩みを抱える方々へ強くすすめる答えを書いてくださいました。これはこの方が直接経験されたことに基づくものであり、状態と回復の過程は人それぞれ異なります。手術の可否は、診察を通してご自身の状態を確認したうえで判断されることです。
この夏、プールでの一日が心地よいものであったことを願っています。
